AIがコードを95%生成!「SENA」AIチャットボット開発ストーリー
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2026年5月28日
こんにちは。
Cocone Engineeringでプラットフォーム開発を担当している C です。
今回は、ポケコロのお問い合わせAIチャットボット「SENA」の開発において、AI駆動開発でコードの95%以上をAIが生成し、2名体制・約1.5ヶ月で実装を完了した事例をご紹介します。
はじめに
最近では「AIを活用した開発」と聞くと、多くの方が AI駆動開発 を思い浮かべるのではないでしょうか。
私たちCocone Engineeringでも、AIは“便利な選択肢”というより、チームの目標や取り組みを前に進めるための土台になりつつあります。
特に本プロジェクトは、AI側の開発者1名 × プラットフォーム側1名 という体制だったこともあり、設計から実装、レビューまでをAIと一緒に進めるやり方が、少人数でも開発を回すうえで支えになりました。
本記事では「SENA」の開発事例を通じて、現場で試したAI駆動開発の進め方をまとめます。
プロジェクト概要:SENA とは


「SENA」は、ポケコロアプリ内のお問い合わせ機能として動作するAIチャットボットシステムです。
このプロジェクトは、既存のフォーム形式のお問い合わせをAIチャットボットへ切り替えることを目的に進めました。
ユーザーがアプリ内の「お問い合わせ」ボタンをタップすると、WebViewでSENAが起動し、AIがリアルタイムで対応します。
サポートカテゴリ
- アカウント復旧
- 課金関連のお問い合わせ
- ご意見
- 不具合報告
- 不正・迷惑行為の報告
- 一般的なご質問
システム構成

| コンポーネント | 技術スタック | インフラ |
|---|---|---|
| Frontend | React 19 / TypeScript / Vite / Tailwind CSS | AWS Amplify |
| Backend | Go 1.26+ / Gin / MongoDB Driver | ECS Fargate |
| 管理画面(オペレーター返信ツール) | Go 1.26+ / Gin / HTML Template | EC2 |
フロントエンドのチャットUI、バックエンドのAPI・WebSocket通信・S3連携、そして管理画面まで、フルスタックのシステムを構築しました。
開発体制とスピード
2名 × 1.5ヶ月(実装完了まで)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発人数 | 2名(AIサーバー側1名 + プラットフォーム側1名) |
| 開発期間 | 約1.5ヶ月(実装完了まで) |
| AI生成コード比率 | 95%以上 |
| 従来の想定期間 | 4〜6ヶ月(同規模・同体制の場合) |
React SPA + Go APIサーバー + Go 管理画面 + MongoDB + WebSocket + S3連携 + 認証機能 ── これだけの規模を2名体制で進める場合、状況にもよりますが、4〜6ヶ月程度を見込むケースが多いと思います。今回はAI駆動開発を取り入れ、実装完了までのスピードを上げられました。
AI駆動開発の実践方法

1. 仕様・ルールをMarkdownファイルで管理
企画側でNotionに仕様書をまとめ、それをもとに開発向けの仕様整理と実装チェックリストをAIに作ってもらい、Markdownで整理してリポジトリ内で管理しました:
- プロジェクトの全体構成とアーキテクチャ
- 各コンポーネントの技術スタックと設計方針
- コーディング規約とブランチ戦略
- データベース設計とAPI仕様
- セキュリティ要件(暗号化キー管理など)
この形にしておくと、AIに渡す前提が揃いやすく、実装やレビューのやり取りもスムーズになりました。
2. Claude Code をメインのAI Agentとして活用
開発のメインツールとして Claude Code を使用しています。トークンの使用量が上限に達した場合は Cursor に切り替えるという運用です。
Claude Codeの活用場面:
- 新機能の実装:要件を伝えるだけで、エンティティ定義からAPIハンドラー、フロントエンドUIまで一貫して生成
- リファクタリング:Goバージョンのアップグレードやlint対応を、AIが一括で実施
- ドキュメント生成:PRの説明文、設計ドキュメント、README更新も自動生成
- テストコード作成:テストケースをAIが生成
3. GitHub Copilot Code Review の全PR適用
PRのレビューでは、GitHub Copilot Code Reviewも使っています。PRテンプレート側にレビューの観点を日本語で書いておき、コメントも日本語で返ってくるようにしています。
実装→AIレビュー→人の最終確認、の流れにしておくと、チェックの抜け漏れが減って助かりました。
4. 体系的なPRテンプレートの運用
各PRは以下の構成で統一されたテンプレートに従っています:
- 概要:変更の要約
- 主な変更内容:機能追加・修正の詳細
- 技術実装:コンポーネント別の実装詳細
- 変更ファイル一覧:テーブル形式で整理
- テスト:動作確認チェックリスト
- 備考・関連Issue
PRのフォーマットを先に定義しておき、PRの作成はできるだけAIに任せるようにしました。PRの内容が揃いやすくなり、レビューと承認に時間を使いやすくなりました。
開発フロー:人間とAIの役割分担
私たちのAI駆動開発では、人間とAIの役割が明確に分かれています。
| フェーズ | 人間の役割 | AIの役割 |
|---|---|---|
| 要件定義 | ビジネス要件の策定 | 要件の構造化・不足点の指摘 |
| 設計 | アーキテクチャ判断 | 設計ドキュメント・DB設計の生成 |
| 実装 | 指示出し・方向性の判断 | コード生成(95%以上) |
| レビュー | 最終承認・マージ判断 | 自動コードレビュー |
| テスト | 受け入れテスト | ユニットテスト生成 |
| 運用 | モニタリング・障害対応 | 修正PR自動生成 |
人間は「何を作るか」と「品質の最終判断」に集中し、AIが「どう作るか」の大部分を担います。これにより、エンジニアは本来注力すべき設計思考と意思決定に時間を使えるようになりました。
AI駆動開発で感じたこと
ここ1〜2年で、開発の進め方はかなり変わったと感じています。AIが実装そのものを強く後押ししてくれる分、エンジニアに求められる重心も少しずつ移ってきました。
1. 「書く」より「決める/揃える」に時間を使うようになった
コードを書くスピードは上がりやすい一方で、最初に何を作るか・どこまで作るか・どういう形に揃えるか(仕様、境界、命名、例外、非機能、やらないこと)を決める時間が効いてきました。
2. 仕様の“開発向けへの翻訳”が重要になった
企画側の仕様書を、そのまま実装に落とせる形に整える(前提、ケース分け、受け入れ条件、チェックリスト化)ところが、AI時代のボトルネックになりやすいと感じました。ここが揃うと、実装やPR作成をAIに寄せやすくなります。
3. 速くなるほど「検証」が仕事になる
実装が進む速度が上がるほど、レビュー観点の整理、差分の読み解き、テストの設計、ログ/監視の確認、リスクの見落とし潰しが大事になりました。人が“最後の確認”に集中できる状態を作るのがポイントでした。
4. AIに任せるための「型」と「運用」が必要だった
PRテンプレート、チェックリスト、リポジトリ内のMarkdown仕様、やり取りの粒度など、AIが迷わない型を先に作っておくと回りやすかったです。逆に、型がないとアウトプットが揺れやすく、手戻りが増えがちでした。
5. 求められるスキルが少し変わってきた
- 問いを立てる力(何を解くか、何を捨てるか)
- 仕様の構造化(受け入れ条件、境界、チェック項目)
- 品質・セキュリティの観点を持って検証する力
- AIが出したものを前提込みでレビューできる力(コンテキストの読み書き)
こうした要素が、以前にも増して重要視されるようになってきたと感じています。
まとめ
SENAの開発を通じて、AI駆動開発の手触りがはっきりしました。
- 2名 × 約1.5ヶ月で実装完了(AI生成比率は95%+)
- 企画仕様(Notion)→ 開発向け仕様/チェックリスト(AI)→ Markdownで管理、という流れで前提を揃えた
- PRテンプレートとAIによるPR作成を組み合わせ、レビューと承認に時間を使いやすくなった
この数年で開発の進め方は大きく変わっていて、今後も「書く」だけでなく「決める/揃える/検証する」力がより重要になっていくと感じています。