ENSAPIA Engineeringは、東京・福岡・ソウル・釜山の4拠点をつなぎ、グローバルにプロダクトを届ける開発組織です。私たちはいま、AIを便利なツールとして導入する段階を越え、問題定義・品質設計・意思決定・サービス成長までエンジニアが担う「Product Engineering組織」への転換を進めています。
これは、試行錯誤を重ねながら、AIを活用した新しい開発プロセスをつくり上げていく挑戦です。
本記事では、CEOのホンギと、AI Transformation Divisionを担うフンジェが、組織変革の背景、エンジニアに求める役割、そしてシニアエンジニアが弊社で主導できることについて語ります。
組織の「統合」から、成果を生み出す「実践」のフェーズへ
ENSAPIA Engineeringは、いまどのようなフェーズにいますか?
ホンギ: 私たちはいま、「統合」から「実行」へ移るフェーズにいます。
旧社名のCocone Engineeringが、東京・福岡・ソウル・釜山の4拠点を一つにつなぐ「統合」を表していたとすれば、ENSAPIA Engineeringは、その組織が成果を数字で証明する「実行」を表す社名です。組織を一つにしただけで終わるつもりはありません。
私たちは、3年で1,000万DAU※、10年で1億DAUという事業目標を掲げています。その実現を技術で支えるエンジンがENSAPIA Engineeringです。
開発組織としては、2026年末までに「コーディングだけをする開発者がいない」Product Engineering組織への転換を目指しています。
※DAU(Daily Active Users):1日に1回以上サービスを利用したユニークユーザー数。
なぜ、いま開発組織そのものを変える必要があるのでしょうか?
ホンギ: これは単なる業務改善ではなく、生存に関わる転換だと考えています。
AIがコードを書く時代、人の価値は「何を作るかを定義する」「どのような価値を届けるかを判断する」「品質に責任を持つ」といった、より上流の意思決定へ移っています。
AIを既存の開発プロセスに追加するだけでは、この変化には対応できません。プロセスそのものをAI前提で設計し直す必要があります。
個人の成功を「チーム全体で活かせる仕組み」へ
現在、最大のボトルネックは何ですか?
ホンギ: 技術そのものよりも、個人の成功を「チーム全体で活かせる仕組み」へ変え切れていないことです。
AIを使いこなす個人は増えました。しかし、その成果や工夫がチーム全体で活用できる状態になっているとは限りません。
AIによって実装速度が上がるほど、品質確認が最後のQA工程に集中することもあります。既存サービスでは、レガシーコードや既存機能への影響確認なども、新しい取り組みを進める上での課題になります。
必要なのは、一部の優秀な人による成功ではありません。速度・品質・意思決定を、誰もが再現できる組織の仕組みに変えることです。
フンジェ: 現場の課題を一言で表すなら、「開発プロセスの不透明性と属人化」です。
チームごとに開発手法が異なり、意思決定の背景や失敗から得た知見が十分に共有されなければ、組織は同じ問題を繰り返します。個人の経験や力を、可視化されたワークフローと共通の基準へ昇華させる。それがAI Transformation Divisionの役割です。
AIを活用するほど、人の判断力・責任が重要になる
AI活用において、譲れない方針はありますか?
ホンギ: 三つあります。
一つ目は、人が目的や判断に責任を持ち、AIには得意な作業を任せることです。
私たちはこれを「Don’t Use AI, Let AI Build」と表現しています。AIに使われるのではなく、人がAIを主導して、より価値の高い仕事へ移るという考え方です。
二つ目は、「Developer-owned Quality」です。品質を最後にQAが担保するのではなく、設計・実装・レビュー・テストまで、開発チームが主体的に所有します。
三つ目は、AI活用を一部の先進チームだけのものにしないことです。効果があった方法を共有し、組織全体で活用できるようにしていきます。
フンジェ: 当初は、AIに懐疑的なメンバーもいました。重要なのは、AIを使うこと自体を目的にするのではなく、『AIを前提にした方が人が本質的な仕事に集中できる』と、現場で実感できる状態をつくることだと考えています。
方針が明確になってからは、「AIにできないこと」を探すより、「AIを前提にどう開発するか」を考えるメンバーが増えました。大切なのは、AIが生成したコードの量ではありません。エンジニアが本質的な課題に集中できる状態をつくり、プロダクトの価値と品質を高めることです。
技術負債ではなく、プロダクトの根本課題を見る
Product Engineerには、どのような視点が求められますか?
フンジェ: 技術的に正しい改善が、必ずしもプロダクトにとって最適とは限りません。
例えば、片道しかないローカル鉄道の1両編成に利用者が増えたからといって、そのまま2両、3両と増結していくとします。輸送力は上がりますが、それだけで根本的な問題を解決したと言えるでしょうか。本当に必要なのは、路線そのものの見直しかもしれませんし、別の移動手段かもしれません。
技術負債も同じです。コードをきれいにすることやシステムを拡張すること自体を目的にせず、「そもそも、この機能は本当に必要か」「事業成果につながる、より根本的な解決方法はないか」まで踏み込んで考える。それが、これからのProduct Engineerに必要な視点です。
AI時代、シニアエンジニアの価値はどこにあるのでしょうか?
ホンギ: 成功確度を高める提案と意思決定にあります。
言われたものを仕様どおりに作るだけなら、AIがより速く実行できるようになります。だからこそ、人には優先順位の判断、品質と速度のトレードオフ、リスクの発見、組織を越えた合意形成が求められます。
私は常に「速度 × 品質 × 方向」と考えています。速く、高い品質で作っても、方向が間違っていれば事業成果にはつながりません。この三つを成立させる提案こそ、シニアエンジニアが生み出せる大きな価値です。
AIを使う個人ではなく、AIを前提に働くチームへ
すでに変化の手応えはありますか?
ホンギ: 新規サービスのAI-centricチームでは、開発プロセスの前提にAIを組み込むことで、生産性の大幅な改善が見られました。
重要なのは、特定の数字だけではありません。効果的な進め方や改善方法が見えてきたことです。
「AIを上手に使う個人」よりも、「AIを前提に働くチーム」が結果を出す。この発見を、既存サービスを含む組織全体へ展開していきます。
フンジェ: ある新規サービスでは、影響範囲の小さい不具合をAIで自動修正する仕組みを導入しました。人が一件ずつ対応していた作業をAIに任せることで、エンジニアが、より複雑で本質的な課題に集中できるようになっています。
次に必要なのは、AI活用の効果をデータで可視化することです。開発プロセスにかかる時間、品質、リリース後の結果を計測し、事実に基づいて改善と組織設計を進めます。
決められた方法に従うのではなく、より良い開発プロセスをつくる
シニアエンジニアには、どのような役割が期待されていますか?
ホンギ: 私たちが求めているのは、「決められたロードマップを実装するだけの方」ではありません。
私は、シニアであることを、知っている技術の多さだけでは判断しません。曖昧な状況で解くべき問題を定義し、必要な人を巻き込み、結果が出るところまで前に進められるかを重視します。
どの課題を解くべきか、どの品質基準を持つべきか、AIと人の役割をどう設計するか。プロダクト・技術・組織を横断し、関係者と議論しながら意思決定できる方を求めています。
ENSAPIA Engineeringの開発プロセスは、まだ改善の途中です。
新規サービスで見つかった成功パターンを既存サービスにも展開し、Developer-owned Qualityを文化にし、データに基づく意思決定を組織に根付かせる。その改善や取り組みを中心となって進められる余地があります。
肩書きや担当領域の境界にとらわれず、プロダクトの成功に必要なことを提案し、周囲を巻き込み、結果まで責任を持つ。そうしたシニアエンジニアにとって、いまのENSAPIA Engineeringは大きな挑戦ができるフェーズです。
AI時代のプロダクト開発を、ともに設計する
最後に、読者へメッセージをお願いします。
ホンギ: 「動く人だけが、方向を変えることができます」。
完璧な方法論が完成するのを待つより、まず試し、結果を確認し、得られた知見をチームに共有していくことが重要です。
この転換は、経営の宣言だけでは完成しません。一人ひとりの行動と提案によって形になります。
フンジェ: AIがどれほど賢くなっても、ものづくりの中心は人です。AIを単なるツールではなくパートナーとして捉え、人だからこそできる問題発見と意思決定に集中する。その開発スタイルを、私たちは本気でつくろうとしています。
エンターテインメント業界には、AI活用に慎重な企業も少なくありません。それでも私たちがAIを中心に据えた組織変革を進めるのは、単なるツールの進化ではなく、ものづくりの方法そのものが変わるパラダイムシフトだと考えているからです。その転換を、プロダクトが成功していくプロセスとともに経験できることがENSAPIA Engineeringで働く大きな面白さだと思います。
私たちが出会いたいのは、『技術の深さだけでなく、プロダクトの成功に責任を持ちたい方』、『決められた答えを実行するだけではなく、より良い開発の進め方を自ら考え、提案したい方』です。
ENSAPIA Engineeringはいま、Product Engineering組織へ進化する転換点にいます。
この変化を外から眺めるのではなく、中心で主導したい方との出会いを楽しみにしています。
ENSAPIA Engineeringでは、技術の力でまだ見ぬデジタルワールドの体験をつくる仲間を募集しています。
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